糖鎖導入による選択的活性を示すインターロイキン1の開発

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07557159
• 研究種目: 試験研究(B)
• 研究機関: 名古屋市立大学
• 研究代表者: 小野嵜 菊夫 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (20101313)
• 研究分担者: 古谷 泰二 大日本製薬(株), 生物科学研究所, 主任研究員 ; 桑島 淳二 大日本製薬(株), 生物科学研究所, 部長 ; 林 秀敏 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (80198853) ; 千葉 拓 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (10094385)
• キーワード: インターロイキン / 糖 / 人工糖蛋白 / サイトカイン / ネオグリコプロテイン

研究概要

IL-1は多くの生体反応に中心となる役割をはたしている重要なサイトカインであり、臨床に用いられる可能性の高い因子であるが、副作用を持っている。本研究では、ヒト、リコンビナントIL-1に合成オリゴ糖を結合させた糖鎖導入IL-1を作成し、副作用の無いIL-1を作成する。すでに、IL-1にマンノースダイマーを結合させ、in vitroでは種々の活性が低下しているが、in vivoでは、選択的に活性を保持しているIL-1を作成することに成功している。本年度は更に以下の点が明らかとなった。
1、マンノースダイマー導入IL-1の体内動態
マンノースダイマーを導入したIL-1αをクロラミン法により^<125>Iで標識し、マウスに腹腔内又は血中内に投与し一定時間後に各臓器を得IL-1の体内動態を調べた。その結果、いずれの場合も投与後1-2時間で、糖鎖のはいつていないIL-1に比べ、腎臓への分布が減少し、その代わりに肝臓への分布が増加した。他の臓器においては顕著な差は見られなかった。このことは、マンノースを導入することにより肝臓に親和性を持つIL-1ができるということを示している。
2、ガラクトース導入IL-1の作製
IL-11モルに約14分子のガラクトースを結合させた糖鎖導入IL-1を作成することができた。このIL-1はin vitro におけるT細胞増殖促進活性やヒトメラノーマ細胞に対する増殖阻害活性は、数10分の1から数100分の1と活性が低下していた。

研究成果

• [文献書誌] Y.Takei,T.Chiba,K.Wada,H.Hayashi,M.Yamada,J.Kuwashima,K.Onozaki: "Glycosylated human recombinant interleukin1α,neo interloukin1α,with D-mannose dimer exhibits selective activities in vivo." Journal of Interferon and Cytokine Research. 15. 713-719 (1995)
• [文献書誌] D.Yang,H.Hayashi,Y.Hiyama T.Takii,K.Onozaki: "Transfection of human melanomacells with typeI IL-2 receptor cDNA rendered them IL-1-responsive and revealed the importance of ODC activity dowk-regulation in IL-1 inducd growth inhibition." Journal of Biochemistry. 118. 802-809 (1995)
• [文献書誌] T.Takii,N.Niki,D.Yang,H.Kimura,A.Ito,H.Hayashi,K.Onozaki: "TypeI and typeII interferons up-regulate functional typeI interleukin1 receptor in a fibroblast cell lineTIG-1." Journal of Interferon and Cytokine Research. 15. 1065-1072 (1995)
• [文献書誌] Y.Takei,D.Yang,T.Chiba,S.Nabeshima,M.Naruoka,K.Wada,K.Onozaki: "D-mannose dimer introduced human recombinant interleukin1α,neoIL-Iα,exhibits altered tissue distribution in mice." Journal of Interferon and Cytokine Research. (in press). (1996)