研究課題/領域番号 |
07557163
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大内 和雄 東北大学, 薬学部, 教授 (20006357)
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研究分担者 |
平澤 典保 東北大学, 薬学部, 講師 (80181155)
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キーワード | eosinophil cationic protein / ラット好酸球 / eosinophil-derived neurotoxin / cDNA / ribonuclease |
研究概要 |
今年度は研究代表者らが確立したラットの好酸球増多症モデルを活用してラット eosinophil cationic protein (ECP)の精製を行い、部分アミノ酸配列を明らかにした。得られた部分アミノ酸配列の情報を基にラットECPのcDNAクローニングを以下に述べる方法で行った。ラット好酸球の顆粒蛋白質から精製したECPの部分アミノ酸配列を基にdegenerate primer を作製し、Ascaris suum antigen extractで感作したラットの骨髄細胞から調製したmRNAをtemplateとしてRT-PCRを行った。その結果、190bpのPCR産物が得られ、その塩基配列を解析した結果、ヒトECPのcDNAに70%の相同性があった。次いで、このPCR産物の塩基配列を基に新たにプライマーを作製し、RACE法によってラットECPのcDNAの3'末端及び 5'末端の塩基配列を決定した。cDNAクローニングの結果から、ラットECPのcDNAは465pbのcoding region を含む719bpから成ることが明らかになった。また、cDNAの塩基配列から推定される1次構造を解析したところ、ラットECPは155アミノ酸基から成り、MBPとは異なりpreproECPの形では産生されないことが判明した。1次構造から推定されるECPの分子量は15.5kDで、等電点は9.85と計算された。従って、ECPもMBPと同様に強塩基性の蛋白質であることが明らかになった。ラットECPのヒトECP及びヒトeosinophil-derived neurotoxinとの相同性はそれぞれ54%及び51%であった。また、ヒトECPにおいて報告されているribonuclease (RNase)活性に必要な2つのヒスチジン残基と1つのリジン残基の位置、及び立体構造の保持に必要な8つのシステイン残基の位置は保存されていた。従って、ラットECPはRNase gene superfamilyに含まれる遺伝子産物の1つとしてRNase活性を持っていることが示唆された。
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