研究課題/領域番号 |
07557163
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
医薬分子機能学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大内 和雄 東北大学, 薬学部, 教授 (20006357)
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研究分担者 |
平澤 典保 東北大学, 薬学部, 講師 (80181155)
渡辺 雅子 東北大学, 薬学部, 講師 (90182948)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 好酸球顆粒蛋白質 / major basic protein / eosinophil cationic protein / ribonuclease / cDNA / 細胞傷害性 / ラット好酸球 |
研究概要 |
好酸球顆粒蛋白質は気管支喘息のようなアレルギー性疾患の病態に関与していることが示唆されている。しかし、アレルギー性疾患における好酸球顆粒蛋白質役割を解明するためには大量の好酸球顆粒蛋白質が必要であるが、現在のところ、好酸球顆粒蛋白質を大量に調製することは困難である。そこで、遺伝子組み替えにより好酸球顆粒蛋白質を得るための基礎検討として、我々は、ラットmajor basic protein(MBP)及びラットeosinophil cationic protein(ECP)のcDNAクローニングを行った。ラットMBP及びECPのcDNAクローニングの方法としてはRT-PCR法及びrapid amplification of cDNA ends法を用い、RT-PCRのtemplateとしてラットの骨髄細胞より調製したmRNAを用いた。 ラットMBPのcDNAクローニングの結果から、ラットMBPのmRNAは推定分子量が25.2kDaであるpreproprotein(preproMBP)をコードしていることが明らかになった。PreproMBPはそれぞれ、signal peptide、酸性アミノ酸を多量に含むacidic peptide、強塩基性蛋白質である成熟MBPの3つの部分から構成される蛋白質であることが推定された。従って、ラットMBPもヒト及びモルモットと同様の構造を持っていることが明らかになった。 ラットECPのcDNAクローニングの結果から、ラットECPの分子量は15.5kDaであり、等電点は9.85であると推定された。従って、ラットECPもラットMBPと同様に強塩基性の蛋白質であることが明らかになった。ラットECPとヒトのeosinophil ribonuclease(RNase)との相同性は51-54%であり、マウスのeosinophil-associated ribonucleaseとの相同性は65%であった。また、ラットECPのアミノ酸配列にはRNase活性の活性中心に相当するアミノ酸が保存されていたことからラットECPはRNase gene superfamilyに属する遺伝子産物であることが示唆された。 我々はさらに、ラットの好酸球顆粒蛋白質が哺乳動物細胞や細菌に対して細胞傷害性を示すかどうかについて解析した。10^6個の好酸球より抽出した顆粒蛋白質はラット気道上皮細胞及びラット線維芽細胞に対して細胞傷害性を示さなかった。一方、3μg/mlのラットMBP及びラットECPは協力な殺菌活性を示した。従って、ラット好酸球顆粒蛋白質は細菌に対する傷害性が高いことが明らかになった。これらの結果から、気道に浸潤した好酸球は気道上皮細胞に対して組織傷害を示すことよりも、気道に侵入した細菌を駆除する働きをもっていると考えられる。
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