1.現在までに電位依存性K^+チャンネルのサブユニットとしてKvβサブユニット(3種類に大別される)が報告されている。その中の1つラットKvβ1.1をプローブとして用いてウサギ心筋のcDNAライブラリーをスクリーニングし幾つかのポジティブクローンを得た。それらクローンの塩基配列の決定はまだ完了しておらず全長のクローンが得られているかどうかはっきりしないが、現在までのところ得られている配列よりKvβ1サブファミリーのうちKvβ1.1がウサギ心筋に存在することは昭らかとなっている。またKvβ2サブファミリーに属するサブユニットも得られている。これら新しく得られたKvβサブユニットのαサブユニット(チャンネル孔を形成する)に対する影響を卵母細胞ならびに培養細胞の発現系を用いて詳細に検討する予定である。これらβサブユニット存在下での各種薬剤(抗不整脈薬)に対するチャンネルの感受性についても検討する予定である。 2.酵母のTwo Hybrid Systemを利用した新たな分子のクローニングには残念ながら成功していない。近年、チャンネルが種々の蛋白分子と複合体を形成しうることが明らかとなってきており、チャンネルの機能におけるそのような蛋白分子同士の相互作用の重要性に関心が集まってきている。このような現状からしても蛋白分子相互作用をもとにしたクローニングは引き続き検討していく予定である。 3.QT延長症候群の1原因遺伝子であることが明らかにされたHergは1つの種類の遅延整流型K^+チャンネルをコードしている。このHergを利用できるようになり卵母細胞に発現することが出来たので、今後これまで調べてきたような各種薬剤(抗不正脈薬)のHergチャンネルに対する影響を検討する予定である。
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