研究課題/領域番号 |
07557171
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水柿 道直 東北大学, 医学部・附属病院, 教授 (60004595)
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研究分担者 |
山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
室田 誠逸 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (50072989)
清水 孝雄 東京大学, 医学部, 教授 (80127092)
尾股 健 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (50194634)
大内 和雄 東北大学, 薬学部, 教授 (20006357)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | プロスタグランジン / ロイコトリエン / シクロオキシゲナーゼ / GC / MS / トロンボキサン / プロスタサイクリン / 炎症 / 病態 |
研究概要 |
年度の研究により、アラキドン酸カスケードに関わる諸因子との関連性について以下の点を明らかにした。 (1) プロスタグランジンの産生と病態;高脂血症患者に於ける血清脂質及び尿中prostacyclin(PGI_2)、thromboxaneA_2(TXA_2)代謝産物、8-isoprostane排泄量を測定し、高脂血症患者におけるTXA_2/PGI_2産生不均衡とその血管合併症への関与が示唆された。またイコサペント酸エチル投与により、PGI_2、TXA_2及び8-isoprostaneがその効果に関与することが示唆された。さらに、異常妊娠例(妊娠性糖尿病例、子宮内胎児発育遅延例など)や糖尿病患者では、TXA_2/PGI_2産生不均衡が生じていることが示された。 (2) シクロオキシゲナーゼの変動;急性炎症モデルに於けるCOX-2阻害薬の抗炎症作用はCOX-2を介するPGE_2産生阻害であること、更にデキサメタゾンの血漿滲出抑制作用はPLA_2及びCOX-2の発現抑制は重要でないことが示された。血管新生モデルを用いての検討では、COX-1ではなくCOX-2がPG生成を介して血管新生を増強していることが示され、誘導されたVEGFが実際にこのモデルの血管新生に役割を持つことが判明した。また、COX酵素がCOX活性とperoxidase活性を合わせ持っていることを利用して、生細胞系でCOX活性を個々の細胞で測定できる系を確立し、内因性アラキドン酸を利用できるのはCOX-2のみであること、NOはCOX-2活性を有意に抑制することを明らかにした。COX-1はヒト巨核芽球性白血病細胞CMKでホルボールエステルで誘導され、血小板では認められないPGD合成酵素の造血器型がCMK細胞に存在することが示された。COX-2マウス骨芽細胞MC3T3-E1でTNFαによって著明に誘導され、その転写調節因子として、NFκBとNFIL-6の関与が明らかとなった。 (3) ロイコトリエン(LT)の定量と機能;LTB_4の定量分析には、LTB_4のモノクローン抗体を用いた放射免疫測定法、尿サンプルを用いる簡便な酵素免疫測定法、ESIイオン源を装着したLC/MS微量定量分析をそれぞれ確立した。また、喘息患者では健常人に比べて尿中LTE_4、11β-PGF_<2α>とも有意に高値を示し、アスピリン喘息患者では尿中LTE_4が非常に高値を示し、肺気腫患者では11β-PGF_<2α>が有意に高値を示した。新規抗糖尿病薬troglitazoneには抗原刺激によるLT産生を抑制する作用があることをラット肥満細胞株であるRBL-2H3細胞を用いて明らかとなった。またLTB_4受容体のクローニングに成功し、その性状を明らかにした。CHO細胞に発現させた場合、LTB_4はアデニル酸シクラーゼ活性の阻害、細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こし、また、LTB_4の遊走活性への関与が明らかとなった。
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