研究課題/領域番号 |
07557172
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 勝年 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30012660)
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研究分担者 |
濱 裕 筑波大学, 基礎医学系, 助手 (30261796)
石川 智久 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (10201914)
粕谷 善俊 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70221877)
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キーワード | アストロサイト / エンドセリン / エンドセリン受容体 / 凍結損傷 / 脊髄損傷 / アンタゴニスト / 中枢神経系 / 脳抽出液 |
研究概要 |
エンドセリン(ET)は組織損傷時の修復に関するグリア細胞であるアストロサイトの増殖に大きく関わっている可能性が示唆されている。中枢神経系の損傷時には血液脳関門の破綻が生じ、血液成分我々の基礎的な検討から、分化したアストロサイトではET受容体の一つであるET_B受容体がきわめて高頻度に発現しており、分化状態のアストロサイトは低濃度のETに対して鋭敏に応答することを確認している。我々はラット大脳半球の凍結損傷モデルおよび脊髄の切断による損傷モデルを用い、損傷時および損傷後のアストロサイトの反応とETとの関係を追跡した。 凍結損傷は血液脳関門を広範囲かつ一過性に破綻されることにより浮腫を誘発させるモデルである。損傷部位の組織中には浮腫によって貯留した成分が含まれており、損傷部位における液性環境を反映していると考えられる。損傷組織から抽出液(BE:brain extract)を調整し、初代培養アストロサイトに作用させた。培養アストロサイトに損傷後1日目のBEを作用させることにより、DNA合成活性の上昇が認められた。このDNA合成活性の上昇は抗ET抗体によって特異的に抑制されることが確認された。損傷後1日目の損傷部位では正常の約4倍にET-1含有量が増加することから、ET-1が損傷後の急性期の組織においてアストロサイトの細胞増殖のtriggerとなる可能性が示唆された。 このことはラット脊髄の切断モデルでも確認され、非ペプチド性の強力なET受容体アンタゴニストSB209670の局所適用により、損傷部位における幼若化し増殖状態にあるアストロサイトの出現が顕著に抑制された。
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