研究課題/領域番号 |
07557174
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺崎 哲也 東京大学, 薬学部, 助教授 (60155463)
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研究分担者 |
笹原 邦宏 三共株式会社, 第一生産技術研究所・兼試験研究第二室, 所次長兼室長
滝川 一 帝京大学, 薬学部, 助教授 (70197226)
青木 淳賢 東京大学, 薬学部, 助手 (20250219)
加藤 将夫 東京大学, 薬学部, 助手 (30251440)
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 教授 (80090471)
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キーワード | ポリオウイルス / ウイルス受容体 / ウイルス製剤 / ワクチン / 脳 / 臓器選択性 / 血液脳関門 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
ウイスル製剤の体内動態予測法と安全性評価法の開発において、ウイルスの臓器分布性と感染性を機構論的に明らかにすることは非常に重要である。本研究では中枢選択的感染性を示すポリオウイルスについて、ワクチン株Sabin 1と強毒株Mahoneyの間で、ポリオウイルス受容体遺伝子発現マウス(Tg21)を用いて血液脳関門透過性を評価した。従来、Sabin 1は安全で脳へは移行しないと考えられていたが、両株ともにアルブミンの約100倍の速さで脳内へ移行することが分かった。したがって、ワクチン株の安全性は脳内へ移行した後の増殖過程がより重要であることが示唆された。RNAウイルスは突然変異確率の高いことが知られるが、この結果はcapsid蛋白の性質はワクチンの安全性に余り重要ではなく、むしろnoncapsid geneにおける突然変異に注意を払う必要があることを示唆している。また、臨床分離株の遺伝子解析の結果が種々なされているが、各株における毒性の強さとnon-capsid geneの配列の差に特に今後は注意する必要があることが示された。 さらに、wild typeのICRマウスについてSabin 1とMahoneyの血液脳関門透過速度を測定したところ、Tg21と同様の結果が得られた。したがって、ポリオウイルスの脳への移行にはウイルス受容体が関与していないことが示唆された。 今後は、末梢及び中枢での両株の安全性と増殖性の違いについて比較解析することで、ワクチンの体内動態の予測とその安全性において重要な因子を明らかにする必要がある。
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