研究概要 |
In Vitro代謝実験による相互作用の検討:組み替えヒトP450発現系、及びヒト肝ミクロソーム、ヒトP450抗体を用いて、プロプラノロール、ジソピラミド、ミアンセリン、いくつかのセロトニン阻害剤の代謝に関与するP450分子種を同定し、それぞれCYP1A2,CYP3A4,CYP2D6,CYP2C19が関与していることを明らかにした。その結果、プロプラノロールと喫煙、ジソピラミドとエリスロマイシン、、ミアンセリンとキニジン、セロトニン阻害剤とオメプラゾールとの相互作用の可能性が示唆された。 In Vivoにおける薬物相互作用の検討:ヒト臨床試験により、エリスロマイシンの併用によりアルプラゾラムの血漿中濃度が有意に上昇することを明らかにした。同様にジアゼパムは一部の患者で抗精神病薬であるゾテピンの血漿中濃度を上昇させることを明らかにした。オメプラゾールと類似した化学構造式を持ち、同じCYP2C19で代謝されるE3810は、オメプラゾールとは異なり、ジアゼパムの血漿中濃度を上昇させないことが明らかになった。 In Vitro代謝実験からのIn Vivo薬物代謝の定量的予測法の確立: ヒト、ラットにおけるin vitro代謝実験、及びin vivo実験を行い、オメプラゾールの代謝固有クリアランスをヒト肝ミクロソーム、あるいはヒトP450発現系を用いたin vitro代謝実験より、予測することに成功した。また、この予測に際、必要とした種々の仮定(腸管における代謝の有無、代謝の非線形性、肝臓への取り込み機構等)についてラットを用いて検討した結果、その仮定の成立する可能性が示された。フェノバルビタールによる酵素誘導をラット培養肝細胞系より、ほぼ予測することに成功した。
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