研究分担者 |
津田 学 田辺製薬(株), 応用生化学研究所, 研究員
今泉 和則 田辺製薬(株), 応用生化学研究所, 研究員
加藤 英政 大阪大学, 医学部, 特別研究員
田賀 哲也 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (40192629)
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研究概要 |
本研究は、標的の遺伝子の発現を一時的に抑制するために標的遺伝子組換えを用いるのではなく、アンチセンスのDNA配列を有した遺伝子や、特定のmRNAを酵素的に切断するリボザイムを特定の時期にのみ発現させ、目的遺伝子発現を一時的に抑制しようとするものである。従ってトランスジェニックマウス作成法を用い遺伝子を導入するが、導入する遺伝子のベクターを工夫することによりプログラムされたときにのみ抑制のための遺伝子を発現させるよう計画されている。本年度はこれを行うためのベクターの開発が課題の中心である。ベクター開発の中核をなすプロモーターには、神経成長関連蛋白(GAP-43)のプロモーターを用いた。これは損傷神経軸索が再生するときにのみ発現のスイッチが入るようにデザインするためである。本プロモーター(約16kベース)をクローニングし、βガラクトシダーゼ遺伝子を下流につないだ。本遺伝子コンストラクトをマウス受精卵に注入し、胚における遺伝子発現を検索することによりプロモーターが予定通り作動しているかを検索中である。一方、アンチセンス以外の遺伝子発現抑制の手法としてリボザイムを計画しているが、PC12を用いGAP43の発現抑制を試みた。その結果少なくとも培養系ではリボザイムがうまく作動していることが明らかになった(Imaizumi et at,Mol.Brain Res.,32,338,1995)。さらに我々は、特定の分子群を過剰発現させた動物を用いて神経再生の現象の解析も試みた。神経再生にはIL-6などのサイトカインの関連がいわれているので、我々はIL-6とIL-6受容体の両者を過剰発現させた動物では、神経軸索再生に何らかの影響があるかどうかを検討した。その結果、過剰発現動物では、神経再生の速度が早くなっていることが明らかになった(Hirota et al,J.Exp.Med.in press)。
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