概日リズムは約24時間の周期を持つ内因性リズムで、生物に普遍的に認められる。しかし、概日リズムの分子レベルの発現機構については不明で、特に脊椎動物における突然変異体の発見が待望されている。本研究は、化学変異原物質(N-エチル-ニトロソ尿素、ENU;クロラムプシル、CHL)を用いて、概日リズムにおける突然変異体をマウスで分離することを目的とするものである。本年は、C3H/He及びC57BL/6マウス(8-9週齢)の雄にENUを150mg/kg腹腔内投与し、8週間後、複数の雌マウスと交配しF1を得、行動を指標として概日リズム変異体をスクリーニングした。また、欠失型の突然変異を得るために、CHLを雄に6mg/kg腹腔投与し、1週間後に雌と交配しF1を得、同様にして行動リブムをスクリーニングした。現在までにリズム異常と思われるマウスが数匹得られているが、この異常が突然変異遺伝子によるか否かを鋭意検討中である。 変異原物質を用いる方法以外に、野生マウス集団からリズム突然変異を分離する試みを行っているが、この方法では、完全に昼夜が逆転し昼行性タイプを示すマウスを見だしている。これらについても、現在遺伝様式の把握に努めている。
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