ショ糖密度勾配遠心により分画したウシ副腎髄質由来のmRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入し、発現したH_1受容体を電気生理学的に検出する方法で、3.5-kbおよび5.0-kbの2種類のヒスタミンH_1受容体mRNAが存在することを観察した。3.5-kb H_1受容体mRNAの注入によりアフリカツメガエル卵母細胞に発現させたH_1受容体を刺激した場合、平均約50nAの内向きクロライド電流が引き起こされた。それに対して、5.0-kb H_1受容体mRNAの注入では内向き電流は平均約40nAであった。5.0-kbのH_1受容体mRNAを含む分画よりin vitroでの転写が可能なλZAPllベクターを用いてcDNAライブラリーを作成し、expression cloningにより、即ち、in vitroの転写とアフリカツメガエル卵母細胞における受容体の発現系を組み合わせた方法で、作成したcDNAライブラリーのスクリーニングを行った。しかし、現在用いている実験系の検出感度では検出できなかった。そこで、アフリカツメガエルの灌流装置を小型化し、微量電流測定用アンプを高性能にすることにより10倍感度を上げた実験装置を用いて試みたが検出できなかった。H_1受容体の欠損マウス[Proc Natl Acad Sci USA 93:13316-13320(1996)]においてH_1受容体を標識薬である[^3H]メピラミン結合能が消失したことから、マウスにおいてH_1受容体サブタイプの存在は否定的である。しかし、ヒト、モルモットにおいてはH_1受容体mRNAが2種類発現することを見いだした。ヒスタミンの生理機能、病理機能は種によって異なり、ヒト、モルモットにおいてはH_1受容体サブタイプの存在の可能性は残っている。
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