研究分担者 |
田代 秀敏 (株)国際試薬, 研究開発部, 研究員
渡津 吉史 (株)国際試薬, 研究開発部, 課長
藤山 重俊 熊本大学, 医学部, 助教授 (20109656)
後藤 友巳 熊本大学, 医学部, 助手 (20264286)
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研究概要 |
尿素サイクルの酵素免疫測定法を開発することにより、極めて特異性の高い高感度の、かつ情報量の多い肝機能検査法を開発できると期待される。カルバミルリン酸合成酵素I(CPSI)は肝細胞のミトコンドリアマトリックスに存在する。CPSIはサブユニット分子量が160,000と極めて大きく、また肝細胞での含量が極めて高い。(全タンパク質の2〜5%を占める)という大きな特徴を持つ。さらに肝葉での分布が一様ではなく、胆管側に多く中心静脈に少ない。これらの特徴から、血清CPSIは種々の肝疾患においてユニークな変動を示す可能性がある。そこでまずラットCPSIに対する抗体を作成し、ELISAを開発した。検出限界はアッセイ当たり約2ngであった。 ラットにガラクトサミン投与して急性肝炎モデルを作成した。血清CPSIはガラクトサミン投与12時間から上昇し、24時間で最大値に達し(約130μg/ml血液)、その後徐々に低下し、72時間では対照値にまで低下した。一方ALT活性は少し遅れて上昇し、36時間後で最大値に達し、その後ゆっくり低下した。以上の結果より、強制肝炎モデルにおいて大量のCPSIが速やかに血中に漏出し、速やかに血中より消失することが明らかになった。さらに血清CPSIを免疫ブロット法で解析すると、分子量160,000のバンドに加えて140,000および125,000のバンドが出現し、これらの断片をへて分解されることが明らかとなった。この系をヒトCPSIに応用したところ、感度が著しく低下し、ヒトCPSIに対する抗体を作成する必要がある。
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