研究課題/領域番号 |
07557204
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
奥 祐三郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (60133716)
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研究分担者 |
野中 成晃 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (50281853)
神谷 正男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30081665)
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キーワード | 多包条虫 / キツネ / 酪農地帯 / 北海道 / プラジクアンテル / 駆虫薬 / 人獣共通感染症 / 防除対策 |
研究概要 |
本研究は重要な人獣共通寄生虫症である多包条虫症を、野生終宿主であるキツネの駆虫により防除することを最終目的としている。本年度は北海道の酪農地帯である小清水町においてキツネの巣穴調査とキツネとイヌの感染状況調査(糞便採取と糞便の虫卵検査と糞便内抗原検出法による)、感染状況把握のための糞便内抗原検出法の改善を行った。都市部との比較を行うために札幌のキツネの調査も併せて実施した。感染率調査を血清学診断により可能とするために、多包条虫の実験感染後における犬の抗体応答を観察した。なお、予定していた駆虫薬プラジクアンテルの散布は、キツネの感染状況調査を一年間を通して観察し、年間変動の解析後行うこととしたので、本年は駆虫薬の散布は行わなかった。 小清水町におけるキツネの調査では、200カ所の巣穴が確認され、すくなくとも37家族のキツネが調査地域に生息することが推察された。この37家族のうち糞便の調査ではほとんどの家族において、いずれかのメンバーが多包条虫に感染していることが示唆され、このような農村地帯においてキツネが多数生息し、多包条虫感染率も高いことが確認された。また年間の糞便採取と感染状況の推移から、生後まもなく子ギツネが感染することが示唆された。一方、小清水町における飼いイヌの調査では多包条虫感染率が低いことが示唆された。 札幌においては市街化区域内130カ所の公園および緑地において調査した。50カ所の公園及び緑地においてキツネの足跡が確認され、キツネの都市部における活発な活動が示唆された。さらに16カ所の巣穴が確認され、これらの素穴周辺の糞便の検査により、糞便内抗原もしくは虫卵が確認された。市街地においても多包条虫対策の必要性が示唆された。 多包条虫感染犬において成虫及び原頭節に対する抗体応答が観察され、感染後12日目からIgAおよびIgGが上昇し、一過性のIgM上昇が認められた。
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