研究課題/領域番号 |
07557207
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 荘明 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00009622)
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研究分担者 |
古田 隆久 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (30143514)
服部 正策 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00164864)
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キーワード | 日本住血吸虫症 / ワクチン / リスザル / パラミオシン |
研究概要 |
われわれは、すでに、X線照射セルカリアによるattenuated vaccineの実験系を用いて、正常セルカリアを用いた日本住血吸虫の攻撃感染に対して、リスザルにおいて防御免疫が成立するか否かを検討し、リスザルが住血吸虫症ワクチン開発のための良い実験モデルとなることを明らかにした。ヒトとマウス・ラットの系では、防御免疫機構において異なるエフェクター機序が存在する可能性があり、それぞれの実験動物の特性を生かして研究を進める必要がある。そこで、今年度は、住血吸虫症ワクチン候補分子のひとつであるパラミオシンを用いてリスザルを免疫し、抗体産生能ならびに攻撃感染に対する防御免疫応答について検討した。また、その成績をマウスで得られたそれと比較検討した。すなわち、われわれの作製したマウスで受動免疫を賦与できるモノクローナルIgE抗体(SJ18ε.1)の認識するエピトープを含むパラミオシン分子の中央部(N末端より301-743アミノ酸残基から成る)の組換え体蛋白で、水酸化アルミニウムゲルまたはBCG生菌をアジュバントとして、それぞれ腹部皮下もしくは腹部皮内に注射し、リスザルを2週おきに2度免疫し、さらに2週後に攻撃感染を行うとともに、経時的に採血したうえで、10週後に門脈潅流法により全成虫体を回収し、組換えパラミオシンで免疫しなかった対照群における虫体数と比較した。その結果、IgG抗体の産生がいずれの免疫法によっても認められたものの、虫体回収率は、免疫群の方が対照群よりもむしろ高い結果となり、防御免疫の誘導は認められなかった。一方、マウスでは、サイトカイン応答に関し新知見が得られたので、今後、パラミオシン分子の全長を含む組換え蛋白を得ると共に、それを用いてアジュバントの種類、免疫ルート、サイトカイン応答などについて検討する予定である。
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