今年度の研究はP.yoeliiメロゾイトからの好中球遊走因子の精製及びこの分子の防御免疫能の確認を中心に行った。P.yoelii YMを感染させたddYマウスの赤血球を洗浄後、超音波破砕機を用いてlysateを作成し、0.016M、pH7.6のTris-HCl bufferに透析した後にDE52陰イオン交換カラムにかけ、NaClのlinear gradientで溶出させた。各分画の好中球遊走活性を測定すると、このカラムを素通りする分画に強い遊走活性が集中してみられることがわかった。この素通りの分画を凍結乾燥により濃縮し、Tris-HCl bufferに透析した後、Resource S陽イオン交換カラムでに分画した。この各分画について好中球遊走活性を測定した。最も強い活性を示す分画を集め、濃縮後、SW3000ゲルろ過カラムを用いたHPLCによりさらに精製した。各分画の好中球遊走活性を調べると、230nmの吸光度のひとつのピークと好中球遊走活性が一致する事がわかった。この分画を濃縮後、15%SDS-PAGEを行い、ゲルの銀染色を行った。その結果、この分画は分子量約20Kdの単一バンドを示すことがわかった。この精製した好中球遊走因子10mgをFreund complete adjuvantと共にddYマウスの腹腔内に免疫した。17日後にlethal strainであるP.yoelii YMメロゾイト10^6個を感染させ、その後の経時経過を観察した。その結果、約40%のマウスに感染防御能が誘導されていることが示された。このことから、このNCFがワクチン候補の一つになりうることが考えられた。
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