P.yoelii YMを感染させたddYマウスの赤血球lysateは濃度依存的に強い好中球遊走活性が見られた。感染赤血球lysateから好中球遊走因子(NCF)を、DE52陰イオンクロマト及びHPLCで精製した。気相型自動アミノ酸シークエンサーで解析した結果、interferon-induced protein(IP17)であることが判った。そこで、リコンビナントIP17を作成しその機能の検索をおこなった。リコンビナントIP17は実際に好中球遊走活性を示した。またIP17 10μgを投与したマウスでにP.bergheiを感染させると非投与群に比べて平均生存日数の伸長が見られ、20%のマウスが感染死から免れた。さらにP.falciparumのin vitro培養系にリコンビナントIP17を10μg/ml添加すると、栄養型に成熟する原虫がほとんど見られなくなった。 一方、T.foetus虫体から精製されている好中球遊走因子TfNCFに対する抗体を用いて、同虫cDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性クローンの塩基配列の決定を行った。その結果、Fe・SODであることがわかった。そこでマラリアの系において、Fe・SODがワクチン候補になりうるかどうかを検討した。SOD遺伝子の変異はほとんどみられなかった。マラリア流行地住民の血清中の抗体価を測定しところ、多くの住民にP.falciparum SODに対する抗体が検出されたが、実際の血中のマラリア原虫の有無と抗体価、および年齢と抗体価の間の相関は見られなかった。SODがマラリア感染において、感染防御免疫を誘導することができるのかを検討するために、リコンビナントSOD10μgをCerbuアジュバントと共にマウスに免疫し、40日後にP.bergheiを感染させ、経時経過を観察した。その結果SODが部分的ながら異種であるマラリア原虫にも感染防御免疫を誘導することが明らかとなった。
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