研究課題/領域番号 |
07557216
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
上川路 信博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90224659)
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研究分担者 |
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
山本 健 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60274528)
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60243961)
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キーワード | HLA / アレルギー / スギ花粉症 / HLA-DP / ペプチド |
研究概要 |
アレルギー性疾患や自己免疫疾患など、過剰な免疫応により引き起こされた疾患を抗原特異的に制御する手段の確立を目的とし、スギ花粉症をモデルとして、疾患の成立に関与しているHLA、抗原ペプチドを解析した。スギ花粉症とHLA-DP5との強い相関が認められたため、患者において、HLA-DP5に拘束されたT細胞が存在するかをDP5を発現したトランスフェクタントを用いて検討した。HLA-DP5陽性の患者より得られたスギ花粉抗原特異的T細胞株は、DP5トランスフェクタントおよびスギ花粉主要抗原の一つであるCry j 1の存在下に反応したことから、患者において、相関のあったDP5分子を抗原提示分子とするT細胞応答が存在することが明らかになった。さらに、合成ペプチドを用いて、スギ花粉特異的DP5拘束性T細胞の認識する最小ペプチドを検討したところ、Cry j 1上の9アミノ酸からなる部位、“KVTVAFNQF"であることが明らかになった。さらに、このペプチドを認識するT細胞は、IL-4を産生し、IL-2,INF-γを産生しないTH2タイプのT細胞であり、従ってスギ花粉症の発症に関与するlgE産生をヘルプするT細胞であると考えられた。従って、相関のあるHLA-DP5分子がこのペプチドと結合し、これらが疾患の発症に関与するT細胞応答を惹起する可能性を示した。今後、このペプチドをベースとし、TCRアンタゴニズムおよびHLA-ペプチド複合体を用いた免疫抑制の可能性を検証することで、HLAと疾患の相関という遺伝要因の解析に基づいた、新しい治療法の開発が可能になると考えられる。
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