研究課題/領域番号 |
07557216
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
上川路 信博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (90224659)
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研究分担者 |
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
白澤 専二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10253535)
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60243961)
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キーワード | HLA / HLA-DR / 自己免疫疾患 / アレルギー |
研究概要 |
アレルギー性疾患や自己免疫疾患など、過剰な免疫応により引き起こされた疾患を抗原特異的に制御するためには、免疫応答を惹起している抗原の特定が必須である。自己免疫疾患は、特定のHLAと相関することが知られており、その分子機構は疾患感受性のあるHLA分子が何らかの抗原ペプチドを提示し疾患に関与するT細胞の活性化に寄与していると考えられている。このようなペプチドを解析する新しい方法論として、ペプチドライブラリー法を検討した。 代表的自己免疫疾患である慢性関節リウマチはHLA-DRB1*0405遺伝子と強い相関を示し、DRB1*0405分子に結合した何らかのペプチドによって活性化および増殖したT細胞が関節組織において組織傷害を引き起こしているという仮説が考えられている。また、HLAに結合しT細胞に認識される抗原は9アミノ酸からなるペプチドであることから,20^9種のペプチドをミクスチャーとして合成を行い等量性のよいペプチドミクスチャーの合成に成功した。このライブラリーペプチドおよび慢性関節リウマチと相関を示すHLA-DRB1*0405分子を発現したPBLを抗原提示細胞として利用し、慢性関節リウマチ患者の関節液中のリンパ球の増殖および株化およびその特異性の解析を行った。未知抗原の代わりにライブラリーペプチド(20^9種のペプチドを含む)を用いることで、関節液リンパ球がT細胞株として十分量増殖することが明きらかとなった。また、得られたT細胞株は、HLA-DRB1*0405を発現したトランスフェクタントを抗原提示細胞とした系で、20^9種を含むライブラリーペプチドおよび各アミノ酸ミックス部位を20のアミノ酸に展開した20^9種のサブライブラリーペプチド、180組中の特定のペプチド群に強い増殖反応を示した。すなわち、疾患と相関のあるHLA-DRB1*0405分子に拘束されたT細胞が選択的に増殖しており、今後、これらのT細胞株の自己抗原(II型コラーゲン、熱ショックタンパク等)に対する反応性、ライブラリーペプチドへの反応パターンに基づいて既存のデータベースより検索された自己抗原ペプチドに対する反応性を検討することで、自己免疫現象に関与するペプチドの解析が進むものと考えられる。
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