研究概要 |
本研究では,MRIのCRT診断において画像シリーズごとの参照が容易となるように,モニター1面上に異なる画像シリーズを同時に表示する方法を開発し,画像表示方法と読影パターンの関連を客観的に評価した。7名の放射線科医がアイマークカメラを装着した状態で頭部MRI画像を読影し,読影中の視点の動きを解析したところ,(a)高速ページングのみでは,停留時間が短く,停留点は広範囲に分布する,(b)異なる画像シリーズを一度にページングさせるモード(同期モード)では,特定のシリーズを頻回に見るが,1回の停留時間は短い,(c)画像シリーズ毎にページングするモード(非同期モード)では,特定のシリーズを少ない回数で長時間みる,という傾向が認められた。 読影手順のパターンは(a)画像が表示される順序で全体を見渡してから,所見のあるところに戻る,(b)始めに特定の画像シリーズを読影し,異常所見のあるところについて,他の画像シリーズと比較する,(c)異なった画像シリーズで同じスライス位置にあるものを順次比較してゆき,異常所見のあるところに戻る,と3型に分けられた。各パルス系列別の読影時間配分は,従来の高速ページングでは,T1:T2:プロトン密度=1:1.5:1.2の割合で,ややT2強調像に相対的に重点をおいた読影になっていた。同期モードでは,1:3.9:1.5であり,最もT2強調像に時間を費やしていた。一方,非同期モードでは,1:1:1となり,各パルス系列の読影にかける時間はほぼ同じであった。 最適な画像表示方法を開発するためには,どのような読影手順を採用しているのかを明らかとし,その手順が実行しやすい作業環境を実現する必要がある。この意味でも,今回開発した表示方法は,MRI読影に適した方法と考えられる。
|