HTLV-I LTRの下流にHSV TK遺伝子を接続したハイブリッド遺伝子(pLNLTK)を作成した。これを高効率レトロウイルスベクターpLN に挿入後amphotropic packaging cell linePA317に導入し、105^5CFU/ml(G418r)程度のtiterをもつ組み換えウイルスを得た。HTLV-1によりトランスフォームしたラットT細胞腫瘍株(TARS-1)は新生児ラット、免疫不全状態ラットを腫瘍死させることが知られている。ハイブリッド遺伝子(pLNLTK)及びコントロール遺伝子(pLN)より作成されたレトロウイルスをTARS-1に感染させた。ハイブリッド遺伝子を持つレトロウイルスLNLTKの感染したTARS-1は極めて高いアシクロビルのリン酸化活性を示したがコントロールのLNレトロウイルスを感染したTARS-1ではその活性は殆どなかった。またtax発現陰性のHTLV-1 transformedヒトT細胞株ED-40515(-)にこれらのウイルスを感染させたものでは、いずれもアシクロビルのリン酸化活性は認められなかった。LNLTK感染TARS-1細胞および非感染TARS-1細胞(2×10^7細胞/ラット)を同系のWKA/H新生児ラットに接種し10日後、ガンシクロビル(50mg/kg)を連日10日間投与したところガンシクロビル投与を受けたLNLTK感染TARS-1腫瘍のみが著明な腫瘍の縮小を示した。
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