研究分担者 |
板倉 敬乃 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70223071)
金子 広司 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30224596)
荒川 浩 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90271238)
中村 利彦 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30255137)
清水 浩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90260843)
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研究概要 |
近年,サーファクタント蛋白質B(SP-B)遺伝子の変異によって,先天的にSP-Bが欠損する新生児例が報告されている。これまでに報告されているSP-B遺伝子変異は,121ins2(コドン121におけるフレームシフト変異[G->CAA])とR236C(コドン236における点変異[C->T])である。121ins2のホモ接合体(121ins2/121ins2)では,出生後早期から重篤な呼吸障害を呈する。一方,121ins2のヘテロ接合体では,様々な表現型をとり,無症状のキャリアーのこともあるが,121ins2/R236Cの遺伝子型の場合には,いわゆる慢性肺障害の臨床像を呈する。121ins2変異の有無およびその遺伝子型の診断については,平成7年度において既に確立した。平成8年度は,R236C変異の診断法を新たに確立した。まず,R236C変異の陽性コントロールおよび陰性コントロールを作製した。オーバーラップ・エクステンション法によってR236C変異の塩基配列の異常を人工的にPCR産物に導入した。このPCR産物は,TAクローニング法でベクターに入れられ,R236C変異の陽性コントロールとなる鋳型DNAが作られた。同様に陰性コントロールとなる鋳型DNAもクローニングされた。次に検体(凍結組織,全血)から得られた遺伝子DNA,陽性および陰性コントロールの鋳型DNAを用いて,R236C変異を診断するためのPCR法の反応条件が検討され,R236C変異の塩基配列部分の遺伝子DNAが増幅された。このPCR産物の制限酵素BstUIに対する切断パターンをアガロース電気泳動法で確認することによって,R236C変異を診断することが可能となった。また本年度は,われわれの経験した乳児期発症の先天型肺胞蛋白症において,血清に存在するサーファクタント蛋白質A(SP-A)をサンドウイッチELISA法で定量し,肺胞蛋白症の診断および病勢評価における有用性を明らかにすることができた。
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