研究課題
人工物で気管の欠損部を補填する方法は1940年代より種々の材料を用いた試みが行われたが、全て失敗したといっても過言でない。我々は10年来、全く新しいコンプセトで完成時に表面に人工物が露出しないタイプのメッシュ型人工気管を考案して、今までにない良好な成績をあげてきた。平成8年度の本研究では、気管の材料の変化と再生する組織の病理組織学的な検討をすすめて術後の狭窄の発生機序に血流再開の時期が重要な因子となっていること、コラーゲンスポンジを用いたときの結合織の入り方と、従来のコラーゲン加工との再生組織の差、さらにはそれが動物実験で気管再建をしたときにどのような違いになって出るかなどが判明した。この結果は、長期動物実験の結果を含めて1997年のJournal of Thovacic and Cardiovascular Surgeryに掲載が決まっている。なお、分岐部用Y字型の人工気管の作製と動物実験を行っているが、長期埋入を行ったのち評価する予定である。