研究課題/領域番号 |
07557267
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
瀬尾 孝彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (60262911)
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研究分担者 |
伊藤 喬廣 名古屋大学, 医学部, 名誉教授 (10022899)
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キーワード | 人工臓器 / ECMO / 静脈-静脈バイパス / 静脈-動脈バイパス / 自動制御血液ポンプ / 膜型人工肺 / 肺CCAM / 先天性横隔膜ヘルニア |
研究概要 |
最新型血液ポンプと駆動制御装置を用いて動物実験と臨床治験を行った。血液ポンプは一対のポンプの形状と可塑性を殆ど同一にできるため、より小さな循環の変化にも的確に対応する自動制御が可能であり、後負荷の小さな静脈-静脈バイパスにも用い得ることができたので、肝静脈-門脈バイパスによる幼ブタ肝臓の生体内分離潅流に用いた。本血液ポンプと膜面積0.5m^2の膜型人工肺を接続した回路により、肝潅流量を10、20、30ml/min/kgの3群に分け4時間まで還流した。施行中のポンプの稼働はスムーズであり、出血や採血により流量が自動的に減少し、輸血により元の流量に回復した。このように流量を一定にすることにより至適輸液、輸血量が推測でき有用であった。またポンプへの血液の流入時に陰圧がかからないため、出血等で閉鎖回路内の血液が減少しても血管壁のカテーテル先端への吸着や空気の吸い込みがなく、脱血不良によるポンプの停止や、空気塞栓を認めなかった。その後、高度の肺低形成を伴う巨大肺腫瘤(CCAM)と先天性横隔膜ヘルニアの2例の新生児に臨床応用を行った。方法はVV方式とVA方式でECMO時間は168時間、141時間59分で、共に離脱に成功し前者は合併症無く生存中である。共に約7日間の施行中にトラブルもなく、血液成分の破壊が少ないことより血小板輸血や全血輸血も必要最小限であった。また、ECMO施行中の生体の循環動態の変化には本装置が自動的に反応して流量を調節するために、ポンプ稼働を安定させるための輸血の必要がなく、集中した監視も必要なく、臨床症例の2例共にポンプ、あるいは回路は殆ど放置した状態で一週間にわたるECMOを施行でき、我々の本研究の主目的である省力化が達成された。
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