研究課題
1.顔貌形態を形成する大きな要因である顔面皮下脂肪層の分析を、CT画像を用いて行った。CT画像の各スライス面における顔面の皮下脂肪層の厚さの計測を行い、基準点における値を分析した。その結果、顔面皮下脂肪層の厚さは、個体差は大きいものの、その値は各個体の体格指数(Body Mass Index)に相関し、その予想値を体重および身長より推定する可能性が示唆された。2.MRI画像およびCT画像より、咬筋および顎骨の抽出を行い、ワークステイション上で顎骨と咬筋を付着した状態での3次元構築を行ための方法を開発した。このことは、咬筋の付着部位が、三次元的に把握することができるとともに、本研究の目的であるコンピュータグラフィックスによる立体的復顔のための基礎技術となる。しかし、現時点では、ワイヤーフレームでの描出であるとともに、自動化に難があり、現在改良中である。3.複数の顔画像を分類するにあたり、顔貌印象を保ちながらその類似性を強調する手法として、「固有顔」に注目し、その有相性について分析を行った。その結果、本人の顔とその固有顔との相関から求めた要素削減の度合と、主観評価の得点はほほ直線関係にあることが分かった。さらに、削減した固有顔画像から他人どうしの類似度を求め、クラスター分析で5つのグループに分類することができた。本人を見極める要素のみを残して、その他を共通要素に置き換えることが可能となれば、額面画像変化の定量化および自動分類等がおこなえる。