研究課題
1.同世代の複数の顔画像から顔造作の形態特徴を主成分分析し、個人性を規定する成分について検討した。その結果、両眼距離を固定した場合の対象顔画像の個人性には顎の大きさが大きく関わり、唇の高さがそれに次ぐ因子であることがわかった。また、形態特徴の数を5個に限定したが、その精選も含めて個人性を規定する因子についてさらに検討する必要がある。それによって顔分類のための部位形態の重み付けが得られ、たとえば顔の類似性の定量化が可能になると考えられる。一方、濃淡画像の類似成分から形態特徴を導こうとしたが、各主成分を形態で分離するには至らなかった。2.顔画像から受ける印象について各種の感性語(やさしい、強い等)を用いて分類を行った結果と、主成分分析により定量的に行った分類との比較を行った。定量的に分類をおこなったグループは、ある一定の感性語が集まる傾向にあった。つまり、本結果は、形態特徴と印象特徴との関連を示唆するものである。3.CT画像より、顔面骨の大きさを規定する頬骨体部および頬骨弓の大きさの分析を行った。頬骨の幅は、男性(左側:52.2±406mm、右側:51.5±3.9mm)、女性(左側:51.5±4.2mm、右側:50.8±3.8mm)であり、統計学的に有意に左側が大きかった(p<0.05)。頬骨弓のふくらみは、男性(左側:17.9±4.0mm、右側:17.0±3.5mm)、女性(左側:15.7±3.3mm、右側:14.7±3.2mm)であり、統計学的に有意に男性が大きかった(p<0.05)。4.これまで得たデータから各顔面臓器を3次元的に構築し、コンピュータ上で頭蓋骨に添加していくことに対する技術的問題が残されている。
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