研究課題
基盤研究(A)
顔面の軟組織諸器官のサイズと頭蓋骨のサイズ、咀嚼機能を表すものとして残存歯数および各個体の体格との相関関係についての分析が必要があった。本分析は、本研究課題を行う以前より、我々の研究テーマとして行って来たものであるが、さらにより正確な顔面の軟組織諸器官のサイズを推測することを目的として分析が行われた。本研究成果では、多変量解析を用いることにより、顔面の形態の大きな影響を及ぼす咬筋、耳下線のサイズを各個体の特徴(体格、咀嚼機能、性、年齢)から算出する式を得た。その重相関係数は0.71〜0.74と高い値を示すものであった。復顔を行うにあたり、先ず本人を確認できる復元度および顔の類似性についての分析を行った。顔の個人差を展開して求められる合成変量(主成分)がその非類似性を表わすことに着目し、顔の分類尺度を得ることとした。統計解析の手法として「固有顔」を用いた。固有顔と平均顔を組み合わせて、再構成した顔画像がオリジナル顔画像と似ているかどうかの主観評価およびクラスター分析を行った。その結果、本人を確認できる固有顔復元度は相関係数にして0.88という値を得た。また、ある顔を特定するには7個程度の固有顔が必要であるとの結果を得た。さらに、クラスター分析で顔を5つのグループに分類することができた。さらに、個人性を規定する成分についての分析を行った。その結果、両眼距離を固定した場合の対象顔画像の個人性には顎の大きさが大きく関わり、唇の高さがそれに次ぐ因子であることがわかった。上記したごとく、顔貌と頭蓋骨の大きさや身体的特徴等の各個体の特徴との関係、および顔の類似性や個人同定のために必要な復元度、顔の類似性についての分析では成果を得たが、コンピュータグラフィクスによる復顔のためのソフトウェアーの開発においては、今だ十分な成果をだし得なかった。
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