研究課題/領域番号 |
07557271
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学部, 教授 (50116000)
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研究分担者 |
菅 俊行 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (60243713)
安永 哲也 大阪大学, 歯学部, 助手 (70182342)
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キーワード | 象牙質知覚過敏症 / 象牙細管 / アパタイト / 走査型電子顕微鏡 / ビ-グル犬 / プラークコントロール |
研究概要 |
象牙質知覚過敏症は発症頻度が高いにもかかわらず、その治療法が確立されていない。申請者らはアパタイトのpHに対する溶解度差を利用して、開口した象牙細管を歯質の主成分であるアパタイトで象牙細管内深部にまで封鎖するアパタイト析出法を考案し、これまでin vitroおよびin vivoにて本法の検討を行ってきた。本年は、ヒトと歯牙組織が類似しているイヌを用いて、本法による象牙細管封鎖効果の持続性を評価した。ビ-グル犬の大臼歯歯頚部に楔状窩洞を全身麻酔下で形成し、酸処理により象牙細管を開口させ、人工的に知覚過敏症のモデルを作製した。その後、アパタイト析出法を施し、右側はプラークコントロールを行わず、左側はブラッシンングによるプラークコントロールを1日1回、7日間行った。また同様に象牙質生検法により酸処理のみ施したコントロール群についても同様に評価を行った。そして、7日後に象牙質片を採取し、SEM観察した。アパタイト析出法処理後プラークコントロールを全く行わなかった場合には、象牙細管内に結晶はほとんど認められず、プラークにより管周象牙質および管間象牙質も脱灰されており、象牙細管径は増大していた。一方、プラークコントロールを行った場合には、一部結晶が脱離しており開口している象牙細管も観察されるものの、象牙細管内に析出したアパタイト結晶と管周象牙質との境界が不明瞭になって緊密かつ強固に封鎖されている像も観察された。酸処理のみのコントロール群においても、プラークコントロールを行った場合は一部の象牙細管に結晶性物質の沈着が認められたが、プラークコントロールを行わなかった場合には細管径が増大していた。このように、プラークコントロールされている場合においては持続的な象牙細管封鎖効果が期待できるが、プラークコントロールが不完全な場合にはプラークによる脱灰作用によりアパタイト結晶が脱灰され、持続的封鎖効果が得られないことが分かった。
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