研究課題/領域番号 |
07557280
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
長山 勝 徳島大学, 歯学部, 教授 (30022867)
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研究分担者 |
石川 邦夫 岡山大学, 歯学部, 助教授 (90202952)
藤澤 健司 徳島大学, 歯学部, 助手 (40228979)
松本 文博 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70229566)
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キーワード | アパタイトセメント / 骨伝導性 / 新生骨 / 生体親和性 / 非崩壊型 |
研究概要 |
非崩壊型アパタイトセメントは、主に骨補填、再建材料としての臨床応用を目的としており、その生体親和性の検討は、実用化への必須要件である。そのため、本研究では、非崩壊型アパタイトセメントを実験動物に応用して、セメントに対する骨組織および軟組織の反応を検討した。その際、コントロールとして従来型アパタイトセメントを使用した。 非崩壊型アパタイトセメントおよび従来型アパタイトセメントを骨欠損部に充填した場合、骨組織に対する組織親和性および骨伝導性には違いが認められなかった。すなわち、いずれのアパタイトセメントにおいても、充填後2週には、骨髄内に充填したセメントに接して新生骨が形成され、セメントと新生骨の間には、軟組織の介在はなく直接結合していた。その後、観察期間内で新生骨は経時的に増大した。一方、充填後2週に摘出した試料において、アパタイトセメントと接している軟組織は、非崩壊型アパタイトセメントの場合、セメントの周囲には、異物巨細胞、マクロファージなどの炎症性細胞やリンパ球の浸潤はほとんど認められず、比較的薄い線維性結合組織に囲まれ、良好な生体親和性を示した。しかし、従来型アパタイトセメントの場合においては、比較的多くの異物巨細胞や炎症性細胞の浸潤が認められ、セメント周囲には比較的厚い肉芽組織の形成がみられ、炎症反応が惹起されていた。非崩壊型アパタイトセメントは、従来型アパタイトセメントと比較して、初期からの高い機械的強さの発現、迅速なアパタイトへの変換、非崩壊性などの特性があり、これらが、軟組織に対する優れた生体親和性の原因となった可能性が高いと考えられた。以上の結果から、非崩壊型アパタイトセメントは、骨欠損部の補填・再建のための優れた生体材料となる可能性が高いことが示唆された。
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