研究課題/領域番号 |
07557282
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
矯正・小児・社会系歯学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三谷 英夫 東北大学, 歯学部, 教授 (50014220)
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研究分担者 |
五十嵐 薫 東北大学, 歯学部, 助手 (70202851)
清水 義之 東北大学, 歯学部附属病院, 講師 (20187470)
清水 義信 東北大学, 歯学部, 助教授 (20005078)
篠田 壽 東北大学, 歯学部, 教授 (80014025)
加賀山 学 東北大学, 歯学部, 教授 (60004610)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 歯根吸収 / 矯正学的歯の移動 / 歯根膜細胞 / リスクファクター / 異常形態歯根 / 低石灰化象牙質 / ビスフォスフォネート / ストレスタンパク質 |
研究概要 |
本研究は、歯根吸収のリスクファクターを初心の段階で診断し、しかも、歯根吸収を積極的に予防する方法を確立することを目的として、基礎的、臨床的背景から歯根吸収に関して総合的に検索を行った。本学矯正科で矯正治療を行った症例を疫学的に検索すると、重篤な歯根吸収を起こした症例の約半数に、治療前の歯根に短根、ピペット歯根などの形態異常や歯根吸収像が認められ、ホスト側の要因が歯根吸収の発見に強く関わっていることが示唆された。低カルシウム食を歯根形成期に与えることにより形成した、歯根象牙質に低石灰化領域を有し、歯槽骨は正常なモデルラットを用いて矯正力により歯を移動したところ、正常歯根を有する対照群とは歯根吸収所見で大きな差はみられず、石灰化度の低い象牙質を有する歯根が必ずしも歯根吸収に対する抵抗性が低いわけではないことが示唆された。セメント芽細胞を免疫組織化学的に調べると、骨芽細胞と類似した基質タンパクを産生しており、セメント芽細胞は骨芽細胞と同様に、破歯細胞の誘導に大きく関与していると考えられた。また、歯根膜細胞はin vitro で圧縮力を負荷するとHSP47,60,70の産生ほ増強してメカニカルストレスに対応するとともに、破骨細胞様、破歯細胞様細胞の形成を抑制することが明らかになった。次に、強力な骨吸収抑制作用を有するビスフォスフォネートをラットに局所投与して矯正力により歯を移動したところ、歯根吸収が有意に抑制され、ビスフォスフォネートにより歯根吸収を積極的に予防する可能性が考えられた。本研究により、矯正治療に伴う歯根吸収の発見と重篤渡の個人的なバリエーションには、歯根形態、歯根歯質、歯周組織の特性などのホスト側の要因が強く関わっており、これらの要因をさらに解析することにより、歯根吸収のリスクファクターの診断法と予防法がより明確になると考えられた。
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