研究概要 |
1α,25-ジヒドロキシビタミンD_3に代表される活性型ビタミンD_3類は、従来から慢性腎不全疾患や代表的老人性疾患の一つである骨粗鬆症などの優れた治療薬としてその効果が認められていたが、最近、免疫調整作用、細胞分化誘導作用が見い出されて以来、新たにこれらD_3類に基づく免疫抑制剤あるいは抗腫瘍剤開発の期待も高まってきている。そこで、1α,25-ジヒドロキシビタミンD_3に代表される活性型ビタミンD_3類はもとより、その誘導体の合成にも適用できる幅広い一般性を持った効率的かつ実用的合成法を確立し、従来のカルシウム代謝異常疾患治療薬、あるいは抗腫瘍剤や免疫抑制剤に優る医薬の創製に寄与することを目的に、本課題研究を開始した。C-20位が非天然型配置のエーテル誘導体(20-エピ-22-オキサビタミンD_3)には強力な免疫抑制活性を示すものが知られている。しかし、これら化合物の合成にとって、Williamson型のエーテル形成は高度な立体障害のため困難であり、このことがこの種の誘導体合成の大きな障害となっていた。平成7年度においては、カルボニル化合物の還元的エーテル化法に基づく20-エピ-22-オキサビタミンD_3のC/D-環部の高立体選択的合成法を開発し、上記問題点を解決した。この結果については、イギリス化学会速報誌に報告済みである。
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