研究概要 |
本年度は、以下のような研究成果を得た。 1.水を重合媒体としたEDMA基材上の表面インプリント法について、Gal,Glc,Manをプリント分子、メタクリル酸をホストモノマーに用いると、単糖に対して異なる認識能が見られることが分かったが、オリゴ糖(ラクトース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース)に対しては差異が得られなかった。しかし、Glcをプリント分子とした充填剤について、これらオリゴ糖・単糖類の保持が相対的に大きくなった。 2.(1)の表面インプリント法で二糖(マルトース・ラクトース)をプリント分子に用いたが、単糖をプリント分子とした場合のように各糖類に対して特異的認識能は見られなかった。しかし、マルトースをプリント分子とした充填剤の方が、単糖・オリゴ糖類に対して相対的に大きな保持を示した。 3.ビニルピリジンをホストモノマー、単糖類をプリント分子に用いた場合、(1)の充填剤のように個々の単糖類に対して保持挙動に差異は見られなかった。しかし、グルコースをプリント分子とした充填剤が、糖類に対して相対的に大きな保持を示した。(1)(2)(3)から、アキシアル位に官能基をもたないプリント分子を用いると、充填剤の親水性が大きくなるような傾向が見られた。 4.PADを検出器に用いて、サンプルの負荷量を1700分の1にして(1)の充填剤の評価を行うと、グルコースの保持挙動が大きく変化し、Glc,Manをプリント分子とした充填剤がGalをプリント分子とした充填剤より優先的に保持される傾向を示した。 5.これらのことから、完全に特異性のある認識は困難であるものの、糖の構造の違いをある程度認識するインプリントポリマーの調製が可能となった。具体的には、3、4および6位の水酸基の認識が一つの鍵になることが示唆された。
|