研究課題/領域番号 |
07557299
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
萩中 淳 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (20164759)
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研究分担者 |
安中 雅彦 三菱化学, 横浜総研, 研究員
細矢 憲 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (00209248)
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キーワード | モレキュラーインプリント / 複合糖質糖鎖 / 分子認識 / HPLC用充てん剤 |
研究概要 |
本年度の成果は以下のとおりである。 1.本年度までの検討において、糖あるいは糖鎖のモレキュラーインプリント法を用いる特異的分子認識の発現に対しては、対応するホスト分子同士をかなり近接して配置することが重要でることが明らかとなった。 2.このことを基に、新規なモレキュラーインプリント法を開発した。すなわち、予めホストとなりうる分子をポリマー上にある程度の密度で配置し、その上に目的とする糖を吸着させてホストと相互作用させ、さらに余分なホスト分子を化学反応によって不活性なものに変換する手法である。 3.メタクリル酸をホストモノマーとして用い、エチレンジメタクリレートを架橋剤にして、メタノール溶媒中に修飾糖を添加したものを希釈剤として、ポリマーを調製した。このポリマーは添加した修飾糖に対する特異的認識を示したが、その程度はそれほど高くなかった。 4.このポリマーの重合終了後、溶媒であるメタノールを減圧留去後、30分程度、200度程度に全体を加熱したところ、糖に対する認識は加熱前に比べて約2.5倍程度に増加した。ここで、100度程度の加熱ではこのような認識能の向上は観察されなかった。 5.詳細な検討の結果、ポリマー上に存在するホスト分子中のカルボキシ基が200度の加熱により減少していることが明らかとなった。このことは、カルボキシル基同士の脱水反応が起こり、糖と相互作用しているカルボキシル基をのぞいて、不要なカルボキシル基が認識に対して酸無水物として不活性化されたものと考えられる。 6.これらのことから、旧来法のモレキュラーインプリント法では高い認識が得られなかった糖類に対して、ポリマーを後処理(熱処理)することでより高い認識が得られることが示された。これらの操作は簡便であり、また、実用上問題のある試薬を用いない。従って、極めて実用性が高い方法であると考えられる。
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