研究課題/領域番号 |
07557301
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
綿矢 有佑 岡山大学, 薬学部, 教授 (90127598)
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研究分担者 |
新井 明治 岡山大学, 薬学部, 助手 (30294432)
山根 明男 湧永製薬株式会社, バイオ研究所, 主任研究員
木村 幹男 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90114462)
根岸 和雄 岡山大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70116490)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | マラリア / マラリア原虫 / DNA診断法 / 18SrRNA遺伝子 / 卵形マラリア原虫 / PCR / 輸入マラリア / Microtiter plate-hybridization |
研究概要 |
マラリア原虫18SrRNA遺伝子の特異的塩基配列に着目したマラリアのDNA診断法を開発した。これは、マラリアの古典的診断法である顕微鏡法の持つ欠点を克服しこれに代わり得るものである。本法を用いて、主として東京大学医科学研究所を受診したマラリアの疑いのある322名、747検体の臨床診断を行った。その結果、本法は4種のマラリア原虫の種別判定が可能であり、原虫種によって異なる治療方針の決定に役立つことが示された。また、低感染率のため顕微鏡法で見逃されがちなマラリア回復期での原虫も検出可能であることや、マラリアの再燃の予見が可能であることが示された。以上のことから本法の臨床診断における有用性は大きいことが明らかとなった。 さらに、これまで報告されている卵形マラリア原虫の18SrRNA遺伝子と異なる配列を有する卵形マラリア原虫変異体を、本法を用いて見出した。この原虫に感染した患者血液より抽出したDNAを用いて18SrRNA遺伝子全長の塩基配列の決定を行った。その結果約2.1kbpの3タイプの配列が得られた。マラリア原虫種間での18SrRNA遺伝子の相違は約10%であるが、これらの配列は卵形マラリア原虫のものと比較して約4%の相違であり、近縁のグループであると言える。次いで同じ患者の血液より抽出したRNAを用いて、この原虫が赤内型のステージで転写するタイプのRNAの配列を決定した。また我々は、新たに本原虫を特異的に検出し得るプレートの開発を行い、これを用いて我が国での臨床例から卵形マラリア原虫変異体を実際に検出した。 このように我々の開発したマラリアのDNA診断法は、臨床診断のみならず、新型原虫種の探索など学術目的にも有用であり、マラリア制圧のために大きく寄与し得ると考える。
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