標準的抗真菌剤感受性試験法に基づく自動測定システムの製品化

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07557322
• 研究種目: 試験研究(B)
• 研究機関: 帝京大学
• 研究代表者: 内田 勝久 帝京大学, 医学部, 助教授 (00009995)
• 研究分担者: 須藤 貴子 栄研化学(株), 微生物グループ, R&D研究員 ; 池戸 正成 栄研化学(株), 微生物グループ, R&D担当主任研究員 ; 槙村 浩一 帝京大学, 医学部, 助手 (00266347) ; 山口 英世 帝京大学, 医学部, 教授 (40009890)
• キーワード: 抗真菌剤 / 薬剤感受性試験 / 臨床検査 / 病原性酵母 / 簡易測定法 / 抗菌活性 / ミクロ液体希釈法

研究概要

-酵母様真菌に用いる標準的薬剤感受性試験法の製品化-測定用キットの作製および多施設評価-
標準的ミクロ液体希釈法に従い抗真菌剤に対する感受性試験を実施するための測定用キットを試作して、その評価を行った。まず、この検査法を国内の医療施設において日常検査として容易に実施可能にするために、凍結保存可能な薬剤プレートを作製した。薬剤はamphotericin B、fluconazole、flucytosine、itraconazoleおよびmiconazoleの5種類をdimeyhl sulfoxide溶液とし、96穴マイクロプレートの各ウエルに分注し、-20℃以下で凍結した。この際の凍結条件、解凍条件、保存条件を検討し最適な諸条件を決定した。次に、使用培地の滅菌RPMI1640と接種菌調製用の滅菌生理食塩水をセットにして評価施設および評価協力施設に配布し、新鮮臨床分離株について感受性の測定を行った。培養後の終末点の判定は、プレートアナライザーで読む施設と目視判定の両方について行う施設とを設けた。この試験に際してQC用菌株を必ず同時に測定して常に品質管理を行った。各施設で試験した菌株とデータは本研究代表者に集められ再測定し、データの再現性、信頼性を確認した。
その結果、現在までのところ酵母様真菌13菌種200株について測定を行い、試作プレートによる測定値と標準法による測定値が良好な一致率を示した。また各地の医療施設と研究代表者の成績の再現性も良好であることが確認され、日常検査に用いるのに簡便かつ有用であると結論された。現在、診断薬としての製造承認を申請中である。
今後は、未経験の人においても高精度の測定結果が確実に得られるように、試験菌液の調製法、終末点の判定等について更に検討を加えるとともに、試験菌株を出来る限り増加して実験成果を集積して行く。

研究成果

• [文献書誌] 須藤貴子: "抗真菌剤感受性試験のミクロ液体希釈法による標準化の試み" 日本医真菌学会雑誌. 35(S1). 66- (1994)
• [文献書誌] 山口英世: "日本医真菌学会標準化委員会報告(1992-1994年)抗真菌剤感受性試験法" 日本医真菌学会雑誌. 36(1). 61-86 (1995)
• [文献書誌] 山口英世: "ミクロ液体希釈法による病原酵母の抗真菌剤感受性測定" 第6回日本臨床微生物学会総会抄録集. 52- (1995)
• [文献書誌] 須藤貴子: "ミクロ液体希釈法による抗真菌剤感受性試験の標準化の試み(1)" 日本細菌学雑誌. 50(1). 182- (1995)
• [文献書誌] 須藤貴子: "ミクロ液体希釈法による抗真菌剤感受性試験の標準化の試み(2)" 感染症学雑誌. 69. 82- (1995)
• [文献書誌] 須藤貴子: "ミクロ液体希釈法による抗真菌剤感受性試験の標準化の試み(3)" 日本化学療法学会雑誌. 43(10). 949- (1995)
• [文献書誌] 須藤貴子: "抗真菌剤感受性試験用プレートの評価(1)" 日本医真菌学会雑誌. 36(S1). 110- (1995)
• [文献書誌] 須藤貴子: "抗真菌剤感受性試験用プレートの評価(2)" 日本臨床微生物学雑誌. 5(3). 72- (1995)
• [文献書誌] 須藤貴子: "抗真菌剤感受性試験用プレートの評価(3)" 日本細菌学雑誌. 51(1). 321- (1996)
• [文献書誌] 須藤貴子: "真菌血症 池本秀雄,山口英世編" バイオメディカルサイエンス研究会,深在性真菌症フォーラム事務局, 152 (1995)