研究課題/領域番号 |
07557326
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
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研究分担者 |
塚原 正人 山口大学, 医学部, 助教授 (20136188)
石橋 誠 京都大学, 医学研究科, 助手 (30232341)
森 千里 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90174375)
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キーワード | In situ hybrization / FISH / 性染色体特異的遺伝子 / 性別判定 / 性染色体異常 / ヒト胎児 / 分子診断 |
研究概要 |
1)Fluorescent in situ hybridization (FISH)法による固定ヒト胎児組織中の特異的DNA塩基配列の検出 人工流産で得られた正常ヒト胎児の組織をパラフォルムアルデヒド(PEA)で固定し、その切片を用いてFISH法を行った。用いたプローブは、ヒトのXおよびY染色体に特異的な遺伝子に対するDXZ1およびDYZ1である。その結果、PFA固定後24次間以内に包埋した胎児組織については明瞭な蛍光シグナルが得られ、男性胎児組織については細胞核ごとにDXZ1とDYZ1に対するシグナルが各1個ずつ、また、女性胎児の組織についてはDXZ1に対するシグナルが1個の核に2つずつ検出された。したがって、性染色体に特異的な遺伝子配列をFISH法で検出し、固定標本を用いて性別判定を行いうることが明らかになった。 なお、PFA固定の場合、24〜48時間の固定で最も良好な反応が得られ、固定時間がそれ以上長くなると反応が減弱した。また、10%ホルマリン固定ではPFA固定に比べて反応が弱く、ブアン固定した標本ではFISHのシグナルが全く検出されなかった。 2)固定胎児組織を用いた性染色体異常の検出 上のFISH法を臨床的に応用するための基礎実験として、性染色体異常をもつヒト胎児の固定組織を材料とし、FISH法で染色体異常を検出し得るかを調べた。通常の染色体検査によってターナー症候群(XO)の核型が判明した数例の胎児の固定組織を材料としてDXZ1およびDYZ1のプローブを用いてFISH法を行ったところ、それぞれ体細胞の核にDXZ1に対するシグナルが1個ずつ検出され、DYZ1に対するシグナルは認められなかった。すなわち、FISH法によって固定ヒト標本から染色体の数的異常を検出し得ることが明らかになった。
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