研究課題/領域番号 |
07557336
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
東 市郎 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (50028411)
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研究分担者 |
大隈 邦夫 (財)化学及血清療法研究所, 製造課長
高橋 理明 (財)阪大, 微生物病研究会, 常務理事 (50029758)
劉 永春 北海道大学, 免疫科学研究所, 講師 (00261355)
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キーワード | 免疫アジュバント / ウイルス感染 / 経口免疫 / ロタウイルス / センダイウイルス |
研究概要 |
細菌細胞壁由来のMuramyl dipeptide(MDP)誘導体であるMDP-Lys(L18)は、様々のサイトカイン誘導能をはじめ、多様な生物活性が知られている。一方、粘膜免疫機構は生体を防御するうえで重要な役割を果たしている。本研究では、経口投与で有用な免疫アジュバントの開発のモデル実験としてMDP-Lys(L18)の粘膜局所投与によるウイルス感染防御効果について検討した。ウイルス感染実験は消化管粘膜感染性ロタウイルスと呼吸器粘膜感染性センダイウイルスによるマウス感染モデルを用いた。 ロタウイルス及びセンダイウイルスのマウス感染実験モデルを確立し、種々の投与 経路(経口、経鼻、直腸内投与)から種々の量のMDP-Lys(L18)を投与し、感染防御に有効な投与経路及び投与量の最適条件を決定した。 ロタウイルス感染モデルにおいてMDP-Lys(L18)を50μg/mouseで感染1日前に経口または直腸内投与したところ、両投与経路において顕著な下痢の抑制効果が認められた。センダイウイルス感染モデルにおいては、MDP-Lys(L18)を1mg/mouseで感染2日前に経口投与した群において有効な感染防御効果が観察された。また、経鼻及び直腸内投与群も有効な効果を認めた。更に、ロタウイルス感染臓器である腸内、及びセンダイウイルス感染臓器である肺内の各ウイルス量を測定した結果、いずれもMDP-Lys(L18)投与群において、有意なウイルス増殖抑制効果が観察された。 以上の結果より、MDP-Lys(L18)の経口および直腸内投与がこれら二種類のウイルスによる粘膜局所感染を有意に防御することが明らかとなった。また、このようなMDP-Lys(L18)の粘膜投与による粘膜感染性ウイルスの感染防御効果は、非特異的な粘膜免疫増強によるものと考えられ、粘膜免疫アジュバントとしての応用の可能性が示唆された。
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