同一の個体の中でも、NS5A領域のアミノ酸配列がHCV-Jプロトタイプと同配列の株はIFNに抵抗して残存し、変異のある株がIFN投与により消失する。治療前にこの領域がアミノ酸変異を多く有する変異株を保有している患者では全例がIFN著効、変異を全く認めない野生株を保有している患者では全例がIFN無効であった。そこでNS5A領域に認められる変異を特異的に検出し、個体中に野生株が存在するか否かを調べる簡易測定法を開発することを目的にした。検体から直接塩基決定法によりNS5A領域の塩基配列を決定、アミノ酸配列に翻訳した。しかし直接塩基決定法では変異株であるにもかかわらずIFNが無効であった症例が少数ではあるが存在した。このような症例では変異株の中に野生株が少数混在していた。そこでクローニング法によりそれぞれの変異株の塩基配列を決定した。これによって実際にどの程度変異株と野生株あるいは中間型が混在しているかを知ることができた。現在は直接塩基決定をしないで野生株を検出する系を開発しており、免疫学的方法によるIFN抵抗性ウイルスの検出は進行中である。これは野生株に対する血中抗体を測定することにより、野生株の存在を検出しようとするものである。この方法では、アミノ酸変異を伴わない塩基のみの変異を除外できるという利点がある。現在、合成ペプチドに対する抗体を作成し、RIA法の系を確立しつつある。NS5A領域の抗体が血中に存在するか否かは未だ明らかとなっていない。。さらにRFLP法、型特異的プローブを用いたハイブリダイゼーション法、型特異的プライマーを用いたPCR法を予定している。
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