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1995 年度 実績報告書

大腸癌に対する新しい治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 07557339
研究種目

試験研究(B)

研究機関京都府立医科大学

研究代表者

松川 義純  京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00254368)

研究分担者 水野 敬和  中外分子医学研究所, 第2チームリーダー(
野村 仁  中外分子医学研究所, 所長代行(研究者)
酒井 敏行  京都府立医科大学, 医学部, 講師 (20186993)
キーワード大腸癌 / 酪酸 / G_1期停止 / WAF1遺伝子 / 遺伝子プロモーター
研究概要

我が国で増加を続ける大腸癌では、癌抑制遺伝子であるp53の失活はアデノーマから癌化する段階において最も重要視されている。そこで大腸癌の新しい治療法として、p53の下流に健常に存在するWAF1やRB遺伝子を薬剤的に活性化することにより脱癌が可能であるかを検討した。植物繊維の代謝産物である酪酸をヒト大腸癌の細胞株であるWiDr細胞に添加すると、用量依存的にWiDr細胞の増殖が著明に抑制され、フローサイトメトリイ法で細胞周期を分析すると酪酸によるG1期停止が観察された。G1後期は発癌の制御に最も重要なrestriction point(Rポイント)と考えられており、癌抑制遺伝子のp53がWAF1遺伝子に作用しサイクリン-cdkを抑制して癌抑制遺伝子RBを活性化することにより、Rポイントに対して抑制的に働くことが最近解明された。p53に点突然変異が存在するWiDr細胞ではWAF1遺伝子の発現はプロモーターレベル及びmRNAレベルで低下していたが、酪酸を添加すると数時間後よりWAF1のmRNA量が著明に増強し、タンパクレベルにおいても増強した。更にWAF1遺伝子のプロモータ・ルシフェラーゼプラスミドをWiDr細胞に遺伝子導入し、ルシフェラーゼアッセイ法によってWAF1遺伝子のプロモーター活性を定量した結果、酪酸はWAF1遺伝子のプロモータ活性を増強させ、この効果はp53非依存的であることが判明した(投稿準備中)。現在、酪酸によるWAF1遺伝子プロモーターの活性化部位を同定中である。一方、酪酸はRB遺伝子プロモータ活性には直接増強を認めず、脱リン酸化によるRBタンパクの活性化によってG1期停止を誘導する可能性についても検討中である。今後、酪酸以外に期待できる薬剤として細胞周期をG1期で停止させるフラボノイドやプロスタグランディンを含めて更にスクリーニングを続けたい。

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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