研究課題/領域番号 |
07557348
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 俊宏 京都大学, 医学研究科, 講師 (50188314)
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研究分担者 |
米澤 秀利 小野薬品, 福井安全性研究所, 主任研究員
須貝 智司 小野薬品, 福井安全性研究所, 研究員
垣塚 彰 大阪バイオサイエンス研究所, 第4部門, 部長
戸田 憲一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80159045)
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キーワード | レチノイン酸受容体 / トランスジェニックマウス / ドミナント-ネガティブ / 角化症 / 炎症性角化症 / レチノイン酸 / ケラチン / 表皮分化 |
研究概要 |
魚鱗癬、乾癬は、角化症および炎症性角化症の代表的皮膚疾患である。しかし現在まで、典型的な動物モデルは存在しない。更に、角化症、炎症性角化症の治療には、ビタミンA誘導体(レチノイド)が用いられているが、レチノイドの効果を正しく評価できる動物モデルは存在しない。本研究の目的は、ドミナントネガティブの形質を呈するレチノイン酸受容体の遺伝子を表皮細胞のみで特異的に発現させ、マウス表皮に角化症のモデルを作製することにある。平成9年度は、これに先立つ2年間の成果であるところの、ドミナント.ネガティブの形質を呈する点突然変異を持つレチノイン酸アルファ受容体を持つトランスジェニックマウス(以下モデルマウスと略す)の皮膚病変について、病変解析を行なった。形態学的には肉眼的所見および組織所見、電顕による観察を行ない、特に皮膚の角化を中心にした、皮膚成熟を胎生期皮膚の発達と比較する目的で観察した。また本モデルで最も重要と考えられる皮膚の成熟化と分化に関しては、各々のマーカーであるケラチンを、精製により発現量を、特異抗体で染色することにより、その分布を観察した。モデルマウス皮膚の全ケラチンを尿素を用いた再重合法により精製し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分化マーカーであるケラチンの発現の変化を調べたところ、コントロールマウスにあってはケラチン1、5、10、14の発現が認められ、一方モデルマウスにあってはケラチン1、5、6、10、14、16の発現があり、これは尋常性乾癬の病態に近い。発現の調整は蛍光抗体法による発現の局在決定を通じて観察した結果、ケラチン1、10の発現が基底細胞より1層うえから始まっていることが明かとなり、これも尋常性乾癬の病態に近い。しかし、形態学的観察では皮膚はむしろ菲薄化しており、これらの所見は、現在まで知られている角化症、炎症性角化症と異なるものであった。
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