研究課題/領域番号 |
07557360
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
齋藤 洋一 大阪大学, 医学部, 助手 (20252661)
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研究分担者 |
夏目 徹 日本ハム, 中央研究所, 研究員
向井 常博 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 部長 (40108741)
岩田 博夫 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (30160120)
大西 丘倫 大阪大学, 医学部, 助手 (70233210)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
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キーワード | 疼痛 / 異種移植 / ベータ・エンドルフィン / ポリマーカプセル |
研究概要 |
異種細胞を移植する際の免疫拒絶を克服する手段として、ポリマーカプセルに細胞を封入して移植する方法が注目されている。我々は、遺伝子導入によりオピエ-トとしては非常に強力なベータエンドルフィンを分泌するようにしたマウス神経芽細胞腫をカプセルに封入して、異種動物の疼痛治療に応用する可能性を検討してきた。Pro-opiomelanocortin(POMC)遺伝子を導入したNeuro2Aをカプセルに封入してラット髄腔内に移植すると、ベータエンドルフィンが髄腔内に分泌され宿主のラットに除痛効果が得られた。1ヶ月後にカプセルを取り出して細胞の生着を確認した。しかし、宿主動物をマウス細胞にとってはdiscordantの関係にあるニホンザル髄腔内に移植してみると、ラットに移植した時と比べて細胞のviabilityは悪かった。この原因は自然抗体、補体がカプセルを透過して細胞を攻撃しているためと考えられた。そこでin vitroにおいてカプセル内にヒツジ感作赤血球を封入し、10%健常ヒト血清入り培養液中で24時間incubationし、溶血の有無を検討することで、補体の透過性を検討したところ、アミコン社のPM30とクラレ社の6305番のカプセルを二重構造にすることでほほ完全に補体の侵入を抑えることができた。しかし、このカプセルを使ってニホンザル髄腔内に移植しても、封入された細胞のviabilityは満足のいくものではなく、現在もカプセルの素材について検討中である。 一方、細胞療法の欠点として、分泌オピエ-トの量をコントロールするのが困難であることだが、最近テトラサイクリン(Tet)を投与することで用量依存性に転写をコントロールするTet-Onシステムが開発され、このシステムにPOMC遺伝子を組み込んで、Neuro2Aに遺伝子導入することに成功した(Neuro2A-POMC)。Neuro2A-POMCをPM30に封入してラット髄腔内に移植し、Tetを腹腔内注射することでTet用量依存性に細胞からペプチド分泌させることに成功した。今後このジーンスイッチは様々な細胞療法に応用可能であると考えられる。
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