研究概要 |
本年度は、(1)同系ラットを用いた腎移植の技術的な確立、(2)発現ベクターpmiwzを用いたin vitroでの遺伝子導入、(3)移植膀胱標的としたin vivoにおける遺伝子導入をテーマとし、下記の結果を得た。 (1)について; 1.移植操作そのものは、ほぼ確立し、移植腎生着率も、今後の検討で当座の観察期間として設定した移植後4週間において、ほぼ全例に近い成績を得た。 2.移植に供する腎のmicropumpを用いた体外灌流法は確立したが、灌流条件の差異による移植腎の障害に関する組織学的検討は次年度の課題とした。 (2)について; 1.評価の確立したpV2neoをコントロールに用い、pmiwzのcell line NIH3T3,LLCPK-1への導入効率を、リン酸カルシウム共沈法とリポゾーム包埋法について検討した。 2.LLCPKへの導入効率は、両者ともに、0.1〜0.5%であった。 (3)について; 1.当初の計画には挙げていなかったテーマであるが、腎同様に尿路系に属すこと、移植後に起こる粘膜の脱落再生が、リポゾームよる遺伝子導入を促進する可能性の示唆されること、実験動物の有効利用の図れることなどから、本実験との比較対象として選択した。 2.移植後2〜4週間における粘膜の再生・生着を約50%に確認した。 3.予備実験において、pmiwzの移行上皮細胞への導入を確認した。
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