研究課題/領域番号 |
07557374
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
野瀬 清 昭和大学, 薬学部, 教授 (70012747)
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研究分担者 |
松村 外志張 明治乳業, ヘルストサイエンス研, 副所長
山元 俊憲 昭和大学, 薬学部, 助教授 (30112741)
真下 順一 昭和大学, 薬学部, 助手 (60054045)
江川 清 昭和大学, 薬学部, 講師 (00095879)
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キーワード | レドクス / 遺伝子発現 / WAF-1 |
研究概要 |
薬物検索法の開発のために、遺伝子発現にレドクス制御が関与するサイトカインJE遺伝子および癌抑制遺伝子p53の標的WAF-1遺伝子に注目した。これらの遺伝子エンハサ-を用い、その活性を指標として新規薬物の検索法の確立を試みた。まず、JE遺伝子5'上流をCAT遺伝子に連結したベクターを培養細胞に導入し、種々の薬物でJE遺伝子転写の上昇を見たところ、非特異的に誘導され、スクリーニング法としては不適当と思われた。次に、増殖停止に関わるWAF-1遺伝子エンハンサーを用い、同様な検討を行った。ヒトWAF-1遺伝子の5'上流2.4KbのDNA断片をレポーターとしてβ-ガラクトシダーゼ遺伝子に連結し、発現レポーターを構築した。この発現レポーターをp53の欠損したヒト骨芽細胞(Saos-2細胞)およびp53ノックアウトマウスの線維芽細胞に野生型p53または変異型p53と共に導入して、それぞれの転写活性を調べた。その結果、WAF-1エンハンサーは野生型p53では活性されるが、p53^<Cys270>, p53^<Val134>ではほとんど活性化されなかった。この系は変異型p53を正常化させる薬物の探索に利用できると思われる。また、これらの細胞にこの発現レポーターを導入し、安定に遺伝子を組み込んで形質転換細胞株を分離した。この樹立した細胞を用い、予備実験として数種類の薬剤で刺激してエンハンサー活性を調べたところ、細胞内にレドクス変化を与えるジエチルマレートに誘導活性がみられ、WAF-1エンハサ-にはp53非依存性の転写エレメントが含まれていることが明らかとなった。以上の結果、薬剤によるこのエレメントの活性変化を調べることにより、新規抗腫瘍薬剤の探索が可能になると思われる。また、この系の探索法の特異性や感度を高めるために、p53に反応するエレメントおよびp53非依存的に活性化されるエレメントの領域をWAF-1からエンハサ-を制限酵素で分画し、それぞれをレポーターに連結したプラスミドも構築している。
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