研究課題
本研究では、レドクス制御を受け、癌抑制遺伝子p53の標的でもあるWAF1/p21遺伝子の発現誘導を指標とし、生理活性物質の探索を行うことを目的とした。平成7、8年度でいくつかの探索系を構築し、それぞれの有用性を検討した結果、ヒトWAF1/p21遺伝子の5‘上流-2400塩基(WWP/Luc)および-210塩基(WWP/Pst/Luc)のDNA断片をレポーターとしてのルシフェラーゼ遺伝子に連結したプラスミドをp53欠損細胞(Saos-2)またはp53変異細胞(TMK-1)に導入して安定に保持している細胞株を樹立し、探索系が確立された。WWP/Lucはp53応答エレメントを持ちp53依存的遺伝子発現を探索でき、WWP/Pst/Lucではp53非依存的誘導が探索される。今年度はこれらの探索系を用いて放線菌培養上清約1300種類をスクリーニングし、3種類の活性物質が見い出された。それぞれを精製し、構造の推定を行ったところ、アクチノマイシンD類似体、フレオマイシン、トリコスタチンAと同定された。未知の物質はまだ見い出されていないが、この探索系は生理活性物質の探索に有用であると考えられる。
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