研究概要 |
これまで得られた抗IL- 1α抗体(single- chain Fv; scFv)を用いて免疫学的特性を調べた。その結果、抗体はIL- 1αに特異的に結合したが親和定数が低く、1000pMの濃度でIL- 1αを作用させても結合が飽和されず、親和定数は10^<- 6>M程度とかなり弱いことが判明した。また、IL- 1α活性に対する抑制作用はほとんど検出されなかった。したがって、抗体の親和性を上げる工夫が必要であることが判明した。これまでの方法ではscFvを作成するシステムのため、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域のDNAを、短いペプチドをコードするリンカーDNAを介してつなげるアセンブリのステップが必要であり、この段階で抗体遺伝子(VH,VL)のレパトワの一部が欠落する問題があった。非常に大きな抗体のレパトワを持つライブラリーの作成が親和性、特異性の高い抗体を作るのに不可欠であることから、Fabを作成するシステムの導入をおこなった。この方法では重鎖(VH)、軽鎖(VL)を大腸菌内で別々に合成させ、会合させてFabを作成させるのでアセンブリのステップがなく、増幅させた抗体遺伝子は欠落することなくファージ抗体ライブラリーとして得られ、親和性、特異性の高い抗体が得られるチャンスが高まると考えられる。数人の自己免疫疾患患者のリンパ球からFabを発現したファージ抗体ライブラリーを作成した。そして、新しいシステムにより実際にリコンビナント抗体が作成できるかを、非常に大量に産生されているいくつかの自己抗体(抗核抗体のうち抗RNP抗体とSS- A抗体)について作成を試み、血清中の自己抗体と活性の変抗体と抗IL- 6抗体について、取り直しを行っている。
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