研究概要 |
本年度の研究計画に基づきテレオシジンの分子構造と抗HIV活性発現の関連の解明を目指し、分子設計と合成を行い、次の成果を得た。 (1)既に、teleocidinの活性な立体配座(twist型)を再現する化合物benzolactam類(BL-V8-310(炭素数10))をデザイン、合成し、その強い生物活性を証明しているが、benzolactam類の構造をプロテインキナーゼCのサブタイプのPKC deltaのX線結晶解析の立体構造へのドッキングシュミレーションを行うことにより、teleocidin-benzolactamのPKCへの結合様式を明らかにした。 (2)上記の結果は、benzolactam類の疎水性領域の種々の誘動体合成と活性評価の段階で、最も活性の高いBL-V8-310のアルキル側鎖を隣接炭素に移動したBL-V8-210で活性が1/50、になることの疑問解決に寄与した。すなわち、リガンドとPKCの結合に障害となる立体要因があることが示唆された。この問題を明確に示すため、環状のアルキル基を有するBL-V8-23TM,BL-V8-DM1,BL-V8-DM3を設計、合成した。これらのPKC親和性の評価の結果、benzolactam類8位周辺の立体的崇高さがPKCのSer240,Met239のコンタクトにより活性を著しく減弱(1/1000)させることを明らかにした。 (3)本研究のこれまでの結果から得られたPKCとリガンドの情報から、さらに活性/毒性比の高い抗HIV活性化合物の開発を目指し、ステロイド骨格を利用して、benzolactam類の活性発現要素を導入して、分子設計した化合物の合成を行い、その幾つかに一次評価法として採用したHL-60細胞の増殖抑制試験、PKC親和性に優れた化合物を見いだした。
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