研究概要 |
1.桂姜棗草黄辛附湯,桂枝加朮附湯,芍薬甘草湯も反復低温ストレス性痛覚過敏に対しては抑制作用を示し,当帰加四逆呉茱萸生姜湯と防已黄耆湯は無効であった。桂姜棗草黄辛附湯は,少なくとも5日間の反復投与では抑制作用に耐性の生じないことが明らかとなった。2.反復低温ストレス負荷ラットの痛覚過敏に対する桂姜棗草黄辛附湯の抑制作用が,セロトニン神経毒5,7-DHTの脊髄クモ膜下腔内注射により予め脊髄のセロトニンを減少させておくと減弱し,カテコラミン神経毒6-OHDAの脊髄クモ膜下腔内注射で脊髄のノルアドレナリンをほぼ涸渇させておいても減弱しなかった。桂枝加充附湯の痛覚過敏抑制作用も5,7-DHTの脊髄クモ膜下腔内注射により抑制された。モルヒネの作用は,6-OHDAで抑制され,5,7-DHTでは有意な抑制が見られなかった。反復低温ストレス性痛覚過敏に対する桂姜棗草黄辛附湯の抑制作用は,セロトニン受容体遮断薬の脊髄クモ膜下腔内注射でも抑制され,セロトニン前駆体5-HTPの脊髄クモ膜下腔内注射で増大した。3.ラットにおける反復低温ストレス性痛覚過敏が,NKlサブスタンスP受容体遮断薬,グルタミン酸のNMDA受容体遮断薬,非NMDA受容体遮断薬の脊髄クモ膜下腔内投与で抑制された。また,NMDAの脊髄クモ膜下腔内注射で誘発される嫌悪反応が反復低温ストレス負荷で増大した。4.ラット脊髄後角におけるNMDA受容体サブタイプNMDAR_<2A>及びNMDAR_<2B>,NMDA_<2C>,NMDAR_<2D>のmRNAの発現をin situ hybridization法で調べたところ,第1,II層でNMDAR_<2C> mRNAの発現が反復低温ストレス負荷により増加していた。
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