1 チアニアーシリカ複合酸化物の光酸化作用 チタンテトライソプロポキシドとオルトケイ酸エチルの混合物を酢酸-エタノール溶液で加水分解して得たゲルを焼成してチタニアーシリカ複合酸化物を得た。酸素中で複合酸化物に紫外線を照射すると活性酸素(スーパーオキシド)が生成した。スーパーオキシドはESRのgzz成分がチタン含量によって違いが現われた。複合酸化物の表面はチタン20mol%以下では正四面体、それより高含量では八面体構造となっていると結論した(J.Mol.Catal.に投稿中)。その違いを化学反応性で確かめるためにプロピレンを加えたところ、生成物はアセトアルデヒド、アセトンの他にチタン低含量ではプロピレンオキシドが生成した。チタン高含量では炭酸ガスが多く、ついでイソプロパノールで、プロピレンオキシドは全く生成しなかった。チタニアーシリカ複合酸化物は紫外光を吸収し、酸素を励起させチタン含量によって異なる活性酸素を生成することが分かった。 2 ヒドロキシアパタイトの光化学特性 ヒドロキシアパタイトを373-573Kで排気加熱して吸着水を脱着した後、77Kで光照射(超高圧水銀灯)するとO種が生成した。このものは223K以上で分解するほどに不安定であった。酸素を共存させるとO_3種が生成した。O_3種生成には350mm以下の波長領域の紫外光が有効であった。 O_3種はエチレン、プロプレン、ベンゼンと速やかに反応するが、かさ高いイソブテン、トルエンは緩慢に反応した。これはO_3種がヒドロキシアパタイトのOH基が並ぶチャンネル内で生成し、立体効果が現れたものと考えられる。飽和炭化水素も反応し、メタンは緩慢に反応した。プロピレンの光酸化で生成したC3含酸素化合物中では、選択的にプロピレンオキシドが生成した。O_3種から生成した^3O(P)が活性種と推定した(日化会第72春季年会(1997)で発表予定)。
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