研究課題/領域番号 |
07558004
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 大妻女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
岡田 安代 大妻女子大学短期大学部, 家政学部, 助教授 (90118729)
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研究分担者 |
森田 全三 東京農工大学, 工学部, 教授 (50016408)
浅野 昌子 大妻女子大学短期大学部, 家政学部, 助手
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キーワード | 銅錯塩アゾ染料 / 汗堅ろう度 / 反応染料 / 銅原子の引き抜き / 吸収スペクトル / 酸解離定数 / セルロース染色物 / ヒスチジン溶液のpH |
研究概要 |
未染色セルロースフィルム及び銅錯塩アゾ染料、C.I.Reactive Red 22,銅フタロシアニン染料、ホルマザン染料で染色したセルロースフィルムをヒスチジン水溶液を浸漬し、紫外吸収スペクトルによりヒスチジンのフィルムへの吸着量を測定した。その結果、銅錯塩アゾ染料で染色したフィルムの場合だけ、染料中の銅にヒスチジンが配位したためと推定される付加的な吸着が観測され、その他の場合はすべて未染色フィルムと同じ吸着挙動を示した。通常の吸着も付加吸着もすべてヒスチジン溶液のpHに依存し、pH6で最大吸着を示し、両側で減少した。セルロースに吸着したヒスチジンは、水で洗うと速やかに脱落した。しかしヒスチジンが銅に一旦配位した染料は、リガンド交換が起こるので、再浸漬したとき染料中のこの交換で生ずる水酸基が解離するため、溶液のpHに依存したスペクトル変化を生じたリガンド交換だけを受け、銅が引き抜かれていない染料は、過炭酸ナトリウム溶液で酸化すると元の染料に戻った。しかし、EDTA溶液に浸漬すると、染料中の銅は引き抜かれた。この場合は過炭酸ナトリウム溶液処理で元には戻らず、硫酸銅溶液処理で基に戻った。 次に、ビニルスルホン系のC.I.Reactive Red23とC.I.Reactive Violet5及びモノクロロトリアジン系の1:1型(Blue-1Cu)及び2:1型(Blue-2Cu)銅錯塩アゾ染料で反応染色したセロハンをヒスチジン溶液とEDTA溶液に浸漬し、銅原子の引き抜かれ易さ、引き抜かれた後の染料中の解離基の酸解離定数などを調べた。その結果、銅原子の引き抜かれ易さは、Blue-2Cu>Violet5>Blue-Cu>Red23の順であった。2-ナフトールのリガンドをもつRed23は、他の1-ナフトールをもつものより大きな安定性を有することがわかった。以上のように、セルロースフィルムに銅錯塩アゾ染料を反応染色したものを、種々の条件のヒスチジン溶液に浸漬した後の吸収スペクトル変化を測定することにより、染料中に生ずる構造変化を調べることができる研究方法も確立した。
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