視差差を有する2枚の画像(衛星画像・空中写真)やDEMによって視差差を付加したラスタ型数値地図をコンピュータのCRTに表示し、立体視するシステムを開発した。この研究ではハードウェアだけでなく、このシステムで表示されるコンテンツ(数値地図)の作成も目的としてきた。 いうまでもなく我々が視野内の物体に対して立体感を持つのは左右の眼による視差差があるからである。そこで視差差のある画像2枚(ステレオペア)を、左右に分けてCRTに表示すれば良いわけであるが、これは肉眼立体視そのものでありここでは採用しない。 NEC製のパソコンではV-RAMを2枚持っており、I/Oポートの操作で2つの画面を切り替えることができる。そこで切り替えに合わせて液晶シャッター眼鏡の制御信号を送出すれば、左右の画像を左右の眼に振り分けることができる。この時分割方式は高速化が可能であり、眼の残像現象があるので自然な立体感が得られる。しかしV-RAMにデータを転送することで表示を切り替えなければならない機種については、残像時間に追いつかないほどデータ転送が遅い場合、ちらつきが生じ好ましい結果は得られなかった。 マルチスキャンのCRTに上下に分割して2枚の画像を置き、垂直同期周波数をハードウェア的に2倍とし、液晶シャッターへの同期信号をそれに合わせて取り出すという方法も実験した。この方法は機種依存性が無く、アニメ化された画像にも対応できた。 DEMとしては国土地理院の250-DEMと新しい50m-DEMを使用した。DEMを用いて、選択された2つの視点からの投影画像を得て、それに第3の数値地図を貼り付けるようにした。この第3の数値地図としては衛星画像、陰影図、各種気候図、植生分布図、表層地質、土地利用図、各種人口分布図などを用意した。
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