研究概要 |
いまやコンピュータは化学者にとっては,ビーカーやフラスコといった実験器具と同様に,日々の研究に欠くことのできない道具となっている.コンピュータによってはじめて原子・分子の3次元構造が自在に視覚化され,原子・分子の動きや反応の様子を解析することができる.この方法は,化学において基本的に重要な方法であり,また,化学に対して従来とは異なる新しいイメージを学生に与えることができるので,大学の化学教育において,なるべくはやい段階で導入することが望ましく,とくに大学前期課程においてその必要性が高い.今年度は,教育用計算化学システムとして,以下のようなシステムを構築した.学生用端末としてパーソナルコンピュータ10台(Windows3.1),大規模計算用のサーバとして富士通S4/20(東京大学教育用計算センター駒場支所)4台を学内LANによって接続した.ソフトウェアとしてソニーテクトロニクス社製の分子モデリングシステムCACheを搭載した.このシステムでは,分子モデリングおよび結果の表示はパーソナルコンピュータで行い,分子力学および分子軌道計算は計算サーバに行わせる.このシステムを使って,東京大学全学自由研究ゼミナールの一つとして、前期課程理科生10名(1,2年生各5名)を対象に「コンピュータ化学入門」の講義を試験的に開講した.
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